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ファイトケミカル〜エクオールと腸内細菌〜【腸内フローラ】

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腸内フローラ
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みなさまこんにちは

薬局薬剤師のゆずまるです

今回は女性の美と健康の味方、エクオールについて書きたいと思います

今回は

  • 大豆由来のイソフラボンとはなにか?
  • エクオールとはなにか?
  • エクオール産生菌について
  • 代表的な商品について

解説していきたいと思います

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ファイトケミカル(phytochemical)

ファイトケミカル(phytochemical)とは、植物が紫外線や昆虫など植物にとって有害なものから体を守るために作りだされた色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分のことです。

ファイトケミカルは必ずしも必要な栄養素ではありませんが人の体にとって良い作用をします

今回のテーマであるイソフラボンは主に大豆の主成分でありファイトケミカルに含まれる食品になります

健康を維持するためにはぜひ摂取したい成分ですね

イソフラボンとは

イソフラボンは大豆などに含まれるポリフェノールの一種です

イソフラボンは弱い女性ホルモン様作用を示すことから植物性エストロゲンと呼ばれています

大豆に含まれている主なイソフラボンは ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインと存在します

女性ホルモンの働き

女性ホルモンは女性の卵巣から分泌されるホルモンです

女性ホルモンには2種類あり「エストロゲン」と「プロゲステロン」とあります

エストロゲンは女性特有の丸みを帯びたカラダを作ったり肌や髪の潤いを保つ働きがあります

更には脳や自律神経にも働きかけるため女性のカラダの健康に関わるだけではなく心の安定にも大きく関わってきます

イソフラボンの働きは女性ホルモンのエストロゲンと類似した構造骨格をもつため女性ホルモンのと同じような働きを持ちます

以下に簡単に女性ホルモンの働きを一覧として載せます

女性ホルモンの働き
  • 女性らしいカラダを作る
  • 子宮頸管の分泌液を増やす
  • 妊娠中に乳汁が出るのを抑える
  • 肌の潤いやハリを保つ
  • 髪をツヤツヤにする
  • 動脈硬化を防ぐ
  • 物忘れを予防する
  • 善玉コレステロールを増やす、悪玉を減らす

女性ホルモンは女性らしさを作るホルモンのため日々の健康サポートに積極的にイソフラボンを摂取していきたいですよね

更年期障害

更年期症状の改善作用は女性ホルモンの低下が1つの要因だと考えられています

女性ホルモンのエストロゲンは思春期から分泌量が多くなり、30代でピークに達し、更年期になると減少します

50歳前後の更年期になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が急激に減少します

その結果、ホルモンバランスの乱れに体がついていけなくなります。カラダの不調だけでなく自律神経や精神状態などココロにも不調が起こります

更年期症状は人それぞれで症状が異なります

かんたんにですが一般的な更年期の症状も載せます

更年期障害の一般的な症状
  • ホットフラッシュ(顔や胸のほてり)
  • 首こり、肩こり(血流低下)
  • 肌のシワができる(コラーゲンやエラスチン生成能低下)
  • 骨密度の減少
  • 悪玉コレステロール増加
  • 糖分の代謝能低下
  • 動脈硬化(血管柔軟性低下)
  • イライラ感、不安感
  • 不眠
  • 動悸、息切れ

40〜50年間、女性のカラダを守ってくれていたエストロゲンが急に不足してしまい、カラダやココロがびっくりしている状態です

そのため不足したエストロゲンをすこしずつ補ってあげられるといいですよね

イソフラボンの生体内での利用の流れ

まずは流れを記載します

大豆中のイソフラボンを摂取すると、腸内細菌が働きかけ、β-グルコシダーゼという酵素により加水分解されます

そのときに糖分がとれ、アグリコンとなり腸管から吸収されます

体内に吸収されたイソフラボンは肝臓でグルクロン酸抱合や硫酸抱合を受けることによって、血液中では大部分が抱合体として存在します

摂取されたイソフラボンは生体内で別の腸内細菌によりさらなる代謝を受けます

血液中や尿中で検出される主なダイゼイン代謝物は O- desmethylangolensin(O-DMA)やエクオール(equol)と呼ばれます

ゲニステイン代謝物は 6-ハイドロキシ-O-DMA やジハイドロゲニステインです

下記の図はイソフラボンからエクオール産生の流れ載せた図なのでよろしければ参考にしてください

イソフラボンと女性ホルモンの構造式

女性ホルモンの働きがあると言われるイソフラボンですがその説明は構造式からも説明できます。

構造式は苦手!という人もいると思うので構造式の形だけ見てください

左側は女性ホルモンのエストラジオール

右側がイソフラボンであるダイゼイン

青色の部分は女性ホルモンとして認識する部分のレセプターです

両者はとても良く似た形をしておりますね

2ヶ所の赤い丸の位置と青色の線の部分の形は似ていますよね

赤い丸同士を持って引っ張り、青色の部分がパズルの穴にハマるイメージです

体の中ではこの似た形の部分を認識するためイソフラボンは女性ホルモンに似た作用を示すと言われています

エストロゲンレセプター

エストロゲンのレセプターはαとβとあります

レセプターαは女性生殖器系(子宮、膣、卵巣)や乳腺、視床下部、内皮細胞、血管平滑筋などに存在します

レセプターβは前立腺、 卵巣や肺、脳、血管などにも存在します

大豆イソフラボンのエストロゲンレセプターへの結合活性の強さはαとβともに同等に作用するエストラジオール(女性ホルモン)と比較し、レセプターαよりもレセプターβへの作用が強いといわれています

化合物αβ
エストラジオール100100
ダイゼイン0.21
ゲニステイン0.713

ダイゼインは代謝され、よりエストロゲン作用の強いエクオールへ変換される

エストロゲン様作用はエクオール>ゲニステイン>ダイゼイン>グリシテインの順に強いといわれています

イソフラボンの女性ホルモン様作用

配糖体型イソフラボンとアグリコン型イソフラボン

イソフラボンの多くは配糖体の形(糖がついている状態)としてとして存在しています

配糖体型イソフラボン(ダイゼイン)

左側の輪っかの部分が糖分です

糖がついている状態では形が大きいために吸収されにくい状態です

イソフラボン配糖体は腸内細菌により糖が切断されてアグリコン(糖がはずれた状態の総称)となった後に吸収されます

左の青枠の部分は糖

右の赤枠の部分がアグリコンです

腸内細菌がだすβ-グルコシダーゼという酵素の働きかけによって赤枠と青枠の境目のところで切断します

その後、切断された一部のアグリコンはさらに腸内細菌によって代謝を受けて吸収されます

イソフラボンの成分の一つであるダイゼインは作用としては弱いですが、腸内細菌によってエストロゲン活性のより強いエクオールへと変換されます

配糖体を切断する菌

配糖体からアグリコン型に加水分解し切断する腸内細菌の存在は何でしょうか

文献を調べてみました

大豆イソフラボン配糖体の代謝は腸内細菌叢の組成による影響をあまり受けないものと推定され、言い換えれば各個人間での差違が少ないものと考えられる。
Bifidobacterium 属やLactobacillus 属などは胃など消化管の上部から定着していることが知られており、大豆イソフラボン配糖体は経口摂取後かなり早い段階から代謝を受けると推定された

Microbial Transformation and Bioactivation of Glycosides by Human Intestinal Bacteria Junei KINJO*, Ryota TSUCHIHASHI* *Faculty of Pharmaceutical Sciences, Fukuoka University

人によって腸内環境は変わると言われていますが、配糖体のイソフラボンからアグリコンを作る作用は人によっての差はないと記載がありますね

小腸の上部から住み着いてるビフィズス菌や乳酸菌が主に配糖体の切断(加水分解)に関わっていることが分かります

エクオールとは

エクオール構造式

エクオールは、大豆食品に含まれるイソフラボン成分であるダイゼインから作られる腸由来細菌代謝物です

エクオールは女性ホルモンであるエストロゲンと同様の構造を持ち、エストロゲン受容体に結合してエストロゲン活性を示します

エクオールはヒト以外の動物では個体差なく産生されるが、ヒトでは産生能が異なるといわれています

イソフラボンは生体内での代謝が速いため体内に蓄積して体へ悪影響を示す可能性は低いと言われています

エクオール産生できる人・できない人

それなら大豆をたくさん食べればいいじゃない?と普通は思いますよね

残念ながらエクオールを産生できる人の割合は日本人では約50%欧米人で約30%と言われています

エクオールを産生できない人は大豆イソフラボンを摂取しても十分にその効果が期待できない可能性があると言われています

理由は腸内のエクオール産生菌が存在しない可能性が高いからと言われています

エクオール産生菌

エクオール産生菌はいくつか存在としてはありますが、完全に菌株まで特定されたものは少ないです

一部調べたものを羅列しますので参考までにどうぞ

  • アサッカロバクター属(do3 株)
  • スラッキア属(TM-30 株)
  • スラッキア属(DZE 株)
  • ユウバクテリウム(D1, D2 株)
  • アドラークロイチア属(FJC-B9 株)
  • エゲレセラ属(YY7918 株)
  • シェーピア属(ST18 株)
  • バクテロイデス属(E-15 株)
  • ルミノコッカス属(E-17 株)
  • ラクトコッカス属(20-92 株)
  • ストレプトコッカス属(A6G-225 株)
  • エンテロラブダス属(Mt1B8 株)
  • スラッキア属(HE8 株)
  • スラッキア属(NATTS 株)
  • エゲレセラ属(Julong 732 株)
  • 4 種混合菌(EPC4)

現在Lactococcus garvieaeに属する20-92株がエクオール産生菌として注目を集められています

Lactococcus lactisなどで有名なLactococcus属はチーズや発酵乳等の食品にも用いられているため安全性の高い菌種と考えられています

しかしながらLactococcus garvieaeについては食品利用や腸内細菌としての情報はほとんど見つかりませんでした

今後のプロバイオティクスの進歩に期待ですね!

ソイチェック〜エクオール検査キット〜

いくらイソフラボンをとってもエクオールまで作られる体質でなければあまり意味はないですよね

自分でエクオールが作られているのか簡単に検査するツールがあります


大豆イソフラボンを摂取し腸内でエクオールをつくれる人は、イソフラボンの健康効果を効率よく得ることができます。

検査の流れ

ソイチェック検査の流れ
  • ステップ1
    チェック検査キットを購入
    内容物確認
  • ステップ2
    検査依頼書を入力

    オンラインページにログインし検査依頼書の入力。

  • ステップ3
    採尿してビニール袋へ入れる
  • ステップ4
    返信用封筒に採尿した容器を入れてポスト投函
  • ステップ5
    結果到着します。約1週間程度で完了(紙の場合は2週かかることもあります)

意外と簡単にできますね

そして結果はこのような形で送られてきます

ソイチェック エクオール検査測定結果(カラダチェックHPより)

この結果でエクオールの作られる量が少ないと結果が出てしまったかたはどうしたら良いのでしょうか

その時はサプリメントで補いましょう

エクエル(EQUELLE)

エクオール含有のサプリメントを活用すれば、エクオールを直接摂取できるため腸内細菌の有無に関わらず女性ホルモン様の作用を確保できるためおすすめです


ソイチェックを使ってみてエクオールが作られていないと結果が届いた方は積極的にサプリメントを摂取していきましょう

ソイチェックでエクオールが作られていると判断された方でも毎日継続的な摂取がおすすめです

継続的なエクエルの摂取がおすすめな理由

大豆を食べてイソフラボンからエクオールが作られる体質(腸内環境)であったとしても、エクオール産生菌の働きはだいたい2〜3日程度といわれています

そのため毎日大豆食品を食べ続けなくてはなりません

腸内細菌による作用時間が短いため継続的な摂取が望ましいです

現在エクオール産生菌の20-92株が製品化されていないために厳選した菌株を体内に取り入れることは難しい状況です

さらに、ストレスや抗生物質の投与など腸内環境の変化によってエクオールが作れなくなってしまうこともあります

そのためサプリメントの継続摂取が望ましい

プチアドバイス〜プレバイオディクス

エクオールを定期的に体の中に存在させるために納豆や豆腐などの大豆食品を食べることを習慣化することが必要になります

また、生きたエクオール産生菌を腸内で大事に育てていくことも大切になります。

別記事にて育菌について解説しますが、バナナなどに含まれるオリゴ糖や海藻類の食物繊維なども積極的に取り入れることで腸内環境を整えることも腸活としてとても重要になります

まとめ

大豆食品は女性の健康の味方と一般的に言われていますが

その大豆から作られるイソフラボンは腸内細菌のおかげで女性ホルモンに似た働きが得られます。

体の中からすぐに排出されてしまうため一度にたくさんの摂取ではなく毎日継続的な摂取を心がけましょう

また、必要に応じてサプリメントも頼ってみるのも一つの手ですのでぜひ試して見てください

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他にもたくさん記事を書いていく予定ですのでよろしければご覧いただけてたら幸いです★

参考文献

Identification of a Newly Isolated Equol-Producing Lactic Acid Bacterium from the Human Feces Shigeto UCHIYAMA*, Tomomi UENO* and Toshimi SUZUKI* *Saga Nutraceuticals Research Institute, Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.

大豆イソフラボン類の代謝と腸内細菌フローラ,腸内細菌学雑誌,19,17-23(2005)

関沢純, 大屋幸江. 植物エストロゲン物質の日本人の健康への定量的リスク・ベネフィット解析. 日本リスク研究学会誌(1999) 11: 75-82.

大豆イソフラボンの安全性評価について(案) 平成 17 年 4 月 新開発食品専門調査会

New Insights into“Equol”, a Novel Ingredient Derived from Soy Shigeta Uchiyama Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd., Saga Nutraceuticals R巴searchInstitute.

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