薬局で患者から「便が緑色になった」と相談されることがあります。
これは不安を引き起こしやすい症状ですが、さまざまな要因が考えられます。
特に薬剤による影響は見過ごせません。
この記事では、便の色が緑色になる原因として考えられる薬剤や、その他の要因について解説し、薬剤師がどのように対応すべきかを整理します。
便が緑色になる原因とは?
正常な便の色は茶色ですが、消化のスピードや服用中の薬剤によって変わることがあります。
便が緑色になる原因には、以下の要因が考えられます。
- 消化速度の変化
胆汁は消化の過程で便を茶色にしますが、消化速度が速いと分解が進まず、緑色のまま便が排出されることがあります。 - 食事の影響
緑色の野菜や着色料を含む食品が原因で便が緑色になることもあります。 - 薬剤の影響
一部の薬剤は、便の色を緑色に変える副作用があります。次に詳しく見ていきましょう。
便が緑色になる薬剤の例
便の色を緑色に変える原因として、特定の薬剤やサプリメントが考えられます。以下の薬剤が便の色に影響を与えることがあります。
1. 鉄剤
鉄剤(硫酸鉄やグルコン酸鉄)は便を黒色や緑色に変えることがあり、これは鉄の酸化によるものです。
2. 抗生物質
クリンダマイシンやセファロスポリンなどの抗生物質は、腸内細菌のバランスを変え、消化の速度を速めることで緑色の便を引き起こすことがあります。
3. 下剤
大腸を刺激するタイプの下剤は消化を速めるため、胆汁が分解されず緑色のまま便として排出されることがあります。
4. ビタミンサプリメント
特にB群ビタミンやクロロフィル(植物色素)を含むサプリメントは、便を緑色に変えることがあります。
口臭対策で使われる市販のサクロフィールには便の色を変える成分が含まれています。
サクロフィールって何って言う人はこちらの記事もご覧ください
病態との関係:薬剤以外の要因
薬剤以外にも、便が緑色になる原因として以下のような病態が考えられます。
1. 感染性胃腸炎
ウイルスや細菌による胃腸炎で消化速度が速くなり、便が緑色になることがあります。
2. 過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群では腸の運動が不規則で、便の色が緑色になることがあります。
3. 胆汁の分泌異常
胆嚢や肝臓の異常によって胆汁の分泌が変わり、便が緑色になる場合があります。
薬剤師としての対応方法
緑色の便に関する相談を受けた際に薬剤師が取るべき対応は、以下の通りです。
1. 薬歴の確認
服用している薬やサプリメントが便の色に影響を与えているか確認します。
鉄剤や抗生物質が原因であれば、患者に安心してもらえるよう説明します。
2. 食事の確認
緑色の野菜や着色料を含む食品が便の色を変えることがあるため、食事内容も確認します。
3. 医師への相談を促す
便の色が数日以上緑色のままであったり、腹痛や下痢など他の症状がある場合は、消化器系の病気の可能性があるため、医師の診察を勧めます。
まとめ
便が緑色になる原因は、薬剤の影響や食事、病態など多岐にわたります。
薬剤師としては、患者が服用している薬やサプリメントを確認し、安心感を与える説明を行うことが大切です。
便の色の変化が続いたり、他の症状が出た場合には、医師への受診を促すべきです。
よくある質問(Q&A)
Q1: 鉄剤を服用すると便が緑色になるのはなぜですか?
A1: 鉄剤が腸内で酸化し、便が緑色や黒色になることがあります。これは一般的な副作用で、特に心配は不要です。
Q2: 抗生物質を服用している間に緑色の便が出ることがありますか?
A2: はい、抗生物質は腸内細菌に影響を与えるため、便の色が変わることがあります。通常、服用終了後に元に戻ります。
Q3: 緑色の便が長期間続く場合はどうすればいいですか?
A3: 1週間以上緑色の便が続く場合や、他の症状がある場合は、消化器系の異常が疑われるため、医師に相談することをお勧めします。
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