MRSAとは?無効な抗生物質と有効な抗生物質について徹底解説
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、医療現場で頻繁に問題となる多剤耐性菌の一つです。
本記事では、MRSAの基本的な特徴、無効な抗生物質と有効な抗生物質について詳しく解説し、さらに感染予防策や最新の治療ガイドラインについても触れていきます。

MRSAとは?
MRSA(Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus)は、メチシリンを含む多くのβ-ラクタム系抗生物質に耐性を持つ黄色ブドウ球菌の一種です。
通常の黄色ブドウ球菌は、皮膚や鼻腔などに常在し、健康な人には無害ですが、免疫力が低下した際などに感染症を引き起こすことがあります。
しかし、MRSAは一般的な抗生物質が効かないため、治療が難しく、特に医療機関内での感染が問題視されています。
日本国内では、2020年以降MRSAの分離率は徐々に低下傾向にあるものの、依然として全耐性菌中の約4割を占めています。
米国や欧州では地域差が大きく、米国ではCA-MRSA(市中感染型)の増加が特に問題視されています。
これらの疫学情報は、抗菌薬の適正使用戦略や感染管理策を考える上で非常に重要です。

MRSAに無効な抗生物質
- β-ラクタム系抗生物質(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系)
- マクロライド系(クラリスロマイシンなど)
- アミノグリコシド系(ゲンタマイシンなど)
これらの抗生物質は、MRSAのペニシリン結合タンパク質(PBP)の変異により効果を示しません。

※日本では、アミノグリコシド系抗生物質の中で唯一、Arbekacin(アルベカシン、ABK)がMRSA感染症の治療薬として正式に承認されています。これは例外的な位置づけであり、以下のような特徴と注意点があります。
Arbekacin(ABK)はMRSAに使える?
ABKは、他のアミノグリコシド(例:ゲンタマイシン、アミカシン)と異なり、MRSAに対しても活性を持つとされています。
日本では1990年にMRSA感染症に対して適応が承認され、重症例を中心に使用されています。
有効性と使用例
- 重症肺炎、菌血症、心内膜炎などでの使用実績
- 特にVCM不耐、または他の治療選択肢が限られる場合に選択肢となる
注意点
- TDMが推奨される(有効域と腎毒性のバランスをとるため)
- 腎機能、聴力への影響に注意が必要
臨床研究でも、ABKはVCMに匹敵する治療効果を持ち、副作用の発現率も低いという報告があります。
ただし、広域なエビデンスはVCMやLZDに比べて少ないため、施設の治療方針や経験に基づいて選択されることが多いです。

MRSAに有効な抗生物質
- グリコペプチド系:バンコマイシン(VCM)、テイコプラニン(TEIC)
- オキサゾリジノン系:リネゾリド(LZD)
- サイクリックリポペプチド系:ダプトマイシン(DAP)※肺炎には無効
- ストレプトグラミン系:キヌプリスチン・ダルホプリスチン
VCMやTEICは細胞壁合成阻害により殺菌的に作用し、リネゾリドはリボソームに作用してタンパク質合成を阻害します。
ダプトマイシンは細胞膜に作用することで迅速な殺菌効果を発揮しますが、肺サーファクタントにより失活するため肺炎には不適です。
副作用としてVCMは腎毒性、LZDは骨髄抑制やセロトニン症候群などが知られており、投与期間や併用薬に注意が必要です。

診療ガイドラインのポイント
- 個々の病態に応じた診療方針の選択
- クリニカル・クエスチョン(CQ)に基づく推奨
- 耐性菌出現リスクを踏まえた薬剤選択

感染予防策
- 手指衛生と個人防護具の適正使用
- 患者隔離と接触予防策の徹底
- 医療機器・環境の清掃と消毒

薬剤師の役割
- 抗菌薬適正使用支援(ASP)
- TDMの実施と投与設計
- ICT(感染対策チーム)との連携
薬剤師は、バンコマイシンやテイコプラニンなどのTDMを通じて、適正な血中濃度の維持と副作用の回避に貢献しています。
近年の研究では、薬剤師が治療開始から介入することで、バンコマイシン関連の急性腎障害(AKI)の発生率が有意に低下することや、治療成功率の向上が報告されています。
※バンコマイシン関連急性腎障害の軽減における薬剤師介入の影響
また、ICTラウンドや抗菌薬適正使用支援(ASP)において、薬剤師は処方提案や投与設計の見直しを行い、患者の治療成績改善と医療資源の有効活用にも貢献しています。

まとめ
- MRSAは多くの抗生物質に耐性を持つ黄色ブドウ球菌
- 有効な抗菌薬の選定と適正使用が重要
- 感染対策と職員教育が予防の鍵
- 薬剤師の臨床的関与が患者の予後を左右する
MRSAは医療機関における感染管理の重要な対象であり、抗菌薬の適正使用、感染予防策、診療ガイドラインに基づいた治療が求められます。
特に薬剤師は、抗菌薬の選定からTDM、ICTとの連携に至るまで多面的な関与ができる職種として、その役割は今後ますます重要になっていくと考えられます。

よくある質問(Q&A)
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Q.MRSAに感染したらすぐ入院が必要?
症状と感染部位によりますが、軽症であれば外来管理も可能です。
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Q.市中型MRSAと院内型MRSAの違いは?
- 市中型は皮膚感染が多く、毒性が強い傾向。院内型は多剤耐性で医療施設内で拡がることが多いです。
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Q.MRSAは家庭内で感染する?
- 稀ですが、家族間での接触や共用物を通じて感染することがあります。手洗いやタオルの共用回避が有効です。
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まとめ
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