鳥インフルエンザが拡大中?鶏卵価格や生活への影響は?
2024年秋以降、日本国内で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が急増しています。
特に2025年1月には、過去最多の発生件数と殺処分数が記録され、「卵ショック」の再来も懸念されています。
この記事では最新の発生状況、影響、私たちができる予防策について解説します。

鳥インフルエンザの発生状況は?
2024年10月17日に初発が確認されて以降、2025年1月までに43事例、約811万羽が殺処分されています。特に1月だけで27件の発生と、過去最多のペースで広がっています(農林水産省)。
鶏卵の価格はどうなってる?
鳥インフルの影響で供給が逼迫し、鶏卵価格が高騰しています。
2025年1月24日時点で東京市場のMサイズ鶏卵は285円/kgと、1月上旬よりも大幅に上昇しました。
なぜ感染が広がっているの?
今シーズンは感染拡大のスピードが非常に速く、特に寒冷な季節に野鳥を通じてウイルスが拡散しています。農場での衛生管理の強化や、野鳥への注意が求められています。
人への感染リスクはある?
現在、日本国内で人への感染例は確認されていません。また、鶏肉や卵を食べることで感染することはないとされています。
ただし、感染した鳥やその排泄物には直接触れないよう注意が必要です。
人に感染する鳥インフルエンザの型とは?
主に以下の型が人への感染事例として知られています:
- H5N1型:1997年に香港で初めて人への感染が確認されました。致死率が高く、2003年以降、アジアやアフリカ、ヨーロッパなどで人の感染が報告されています。
- H7N9型:2013年に中国で初めて人感染が確認。主に家禽市場との接触によって感染が広がり、多数の死者が出ました。
- H10N3型など:中国では他にもH10N3型など希少な型での感染報告もありますが、現在のところ人から人への持続的な感染(パンデミック)は確認されていません。

感染経路は?
感染は主に以下のルートで報告されています:
- 生きた鳥や感染鳥の排泄物への接触
- ウイルスに汚染された環境や器具の使用
- 動物市場や家禽農場など高リスクな場所の訪問
現在の日本でのリスクは?
日本国内では現在のところ、鳥インフルエンザウイルスによる人への感染は報告されていません。また、鶏肉や卵を食べることによって感染することはないと厚生労働省も明言しています。
鳥インフルエンザと医療には、いくつかの重要な関係性があります。以下に詳しく解説します。
鳥インフルエンザと医療の関係性は?
鳥インフルエンザは本来、家禽(ニワトリやアヒルなど)や野鳥に感染するウイルスですが、変異によってヒトにも感染する可能性があるため、医療分野では感染症として重要な位置を占めています。
1. 公衆衛生の監視対象
鳥インフルエンザは厚生労働省やWHO(世界保健機関)により「動物由来感染症(ズーノーシス)」として監視対象となっています。
人への感染事例が出た場合、速やかに報告・隔離・感染経路の調査が行われます。

2. 臨床現場での対応
人に感染する可能性のあるH5N1やH7N9型などが確認された場合、感染症指定医療機関での入院治療が必要となります。
診断にはPCR検査、治療には抗インフルエンザ薬(オセルタミビルなど)が使用されます。
3. 医療従事者への感染対策
感染の可能性がある患者に接する医療従事者には、N95マスク、ガウン、手袋、ゴーグルなどの個人防護具(PPE)の着用が推奨されます。
また、標準予防策と飛沫・接触予防策を徹底する必要があります。
4. ワクチンと研究開発
人用の鳥インフルエンザワクチンは、将来のパンデミックに備えて政府が備蓄しています。
新型インフルエンザとしてヒトーヒト感染が確認された場合、迅速な接種が想定されています。
5. 医薬品・衛生用品の需要増
感染拡大の兆候がある場合、抗ウイルス薬や解熱鎮痛薬、消毒用アルコールなどの需要が急増します。
薬局では在庫の管理や供給体制の維持が重要になります。
今後どうなる?
感染が続けば、スーパーから卵が消える可能性も否定できません。
政府は液卵などの代替活用や業者への協力要請を進めています。

まとめ
鳥インフルエンザの感染拡大により、日本国内では殺処分数が急増し、鶏卵の価格や供給にも大きな影響が出ています。
鳥インフルエンザは獣医療と人の医療の両面に影響する感染症であり、医療機関は発症時の対応だけでなく、平時からの準備や監視体制の構築が求められます。
薬剤師としても、情報提供や感染予防の啓発など、地域医療の一端を担う場面が増えています。
よくある質問(Q&A)
- Q. 鳥インフルエンザは食べ物からうつる?
- A. いいえ。鶏肉や卵から感染することはありません。
- Q. 卵は買いだめしたほうがいい?
- A. 状況を見て必要な分だけ購入しましょう。過度な買い占めは避けましょう。
参考文献
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