まえがき
子供に薬を投与する際には、適切な投与量を守ることが非常に重要です。大人と同じ薬であっても、体重や年齢に応じて量を調整する必要があります。本記事では、薬剤師の視点から子供の薬の投与量の決め方について詳しく解説します。これにより、安全で効果的な薬の使用が可能となります。
子供の薬の投与量を決める際の基本原則
子供の薬の投与量を決める際には、以下の基本原則を守ることが重要です:
- 体重に基づく計算:子供の体重に基づいて投与量を算出する。
- 年齢に応じた調整:年齢によって吸収率や代謝が異なるため、年齢に応じて量を調整する。
- 症状の重さ:症状の重さに応じて適切な量を判断する。
- 薬の特性:薬ごとの特性や作用機序を考慮する。
体重に基づく投与量の計算方法
子供の薬の投与量は一般的に体重(kg)に基づいて計算されます。以下のステップで算出します:
- 薬の標準投与量(mg/kg)を確認する。
- 子供の体重を測定する。
- 標準投与量に体重を掛けて投与量を算出する。
例えば、体重20kgの子供に対して、標準投与量が5mg/kgの薬を投与する場合:
投与量 = 5mg/kg × 20kg = 100mg
年齢に応じた投与量の調整
年齢によって薬の吸収や代謝が異なるため、年齢に応じた調整も必要です。特に新生児や乳児は、肝臓や腎臓の機能が未熟なため、慎重な投与が求められます。年齢ごとの投与量の目安は以下の通りです:
- 新生児(0〜1ヶ月):成人の投与量の10〜15%
- 乳児(1ヶ月〜1歳):成人の投与量の20〜30%
- 幼児(1歳〜5歳):成人の投与量の30〜50%
- 学童期(6歳〜12歳):成人の投与量の50〜75%
Von Harnack 表
未熟児:1/10、新生児:1/8、6か月:1/5、1歳:1/4、3歳:1/3、7.5歳:1/2、12歳:2/3、成人:1
だいたいの薬剤師は大まかな投与量は暗記してると思われる。
Augsberger 式
小児量 = (年齢×4+20)/100 ×(大人量)
子どもの処方がきたら裏で子供量が合っているか計算してます。
症状の重さに応じた投与量の調整
症状の重さによっても投与量を調整する必要があります。例えば、軽度の症状の場合は最低限の投与量で十分ですが、重症の場合は最大投与量を考慮することもあります。具体的な量については、医師や薬剤師の指示に従うことが大切です。
薬の特性に応じた調整
薬ごとに作用機序や吸収率が異なるため、薬の特性に応じた調整が必要です。例えば、抗生物質や鎮痛剤、抗ヒスタミン薬など、それぞれの薬が持つ特性を理解し、適切な投与量を決定します。
子供に薬を投与する際の注意点
子供に薬を投与する際には、以下の注意点を守ることが重要です:
- 投与量を守る:指示された投与量を厳守する。
- 投与時間を守る:規定の時間間隔を守って投与する。
- 投与方法を守る:正しい方法で薬を投与する。
- 副作用に注意する:副作用が出た場合は速やかに医師に相談する。
まとめ
子供の薬の投与量を適切に決めることは、その効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。体重、年齢、症状、薬の特性を総合的に考慮し、医師や薬剤師と連携して最適な投与量を決定することが求められます。これにより、安全で効果的な薬の使用が実現します。
参考文献
- 厚生労働省. 小児薬剤の適正使用ガイドライン.
- 日本小児科学会. 小児用薬の投与量に関する指針.
- MedlinePlus. Pediatric Dosing Guidelines.
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