100日咳が増えている？疾患や治療方法について知ろう
ここ最近、全国的に百日咳（ひゃくにちぜき）の患者数が増加しており、保健所や医療機関からも注意喚起が出されています。
特に乳幼児や小中学生を中心に感染が拡大しており、2025年には複数の地域で過去最多の報告例が見られました。
百日咳は単なる風邪と見分けがつきにくく、症状を見逃すと周囲への感染拡大や重症化のリスクを高めてしまう疾患です。
この記事では、百日咳とはどのような病気なのか、どのような症状が出るのか、治療方法や予防策はあるのか、といった疑問に薬剤師の視点からわかりやすくお答えします。
家庭内や学校、地域での感染拡大を防ぐためにも、最新の情報を知っておくことが大切です。
最近、百日咳の患者が増えているって本当？
ここ最近、日本各地で百日咳（ひゃくにちぜき）の患者報告数が増加しています。
2025年初頭には、那覇市で過去最多となる32例、沖縄県全体でも62人と急増傾向が見られています。
特に乳幼児や小中学生での感染が目立ち、注意が必要です。
百日咳ってどんな病気？
百日咳は、百日咳菌（Bordetella pertussis）による急性呼吸器感染症です。
名前の通り、特徴的な咳が数週間から3ヶ月近くも続くのが特徴。
特に乳児が感染すると重篤化することがあるため、早期の診断と治療が重要です。
症状の進行
- カタル期（1～2週間）：鼻水、くしゃみ、軽い咳など風邪に似た症状
- 痙咳期（2～3週間）：発作的な咳、笛声（ヒューという吸気音）、嘔吐を伴うことも
- 回復期（数週間）：徐々に咳が軽減するが、長引くことが多い
どうやって診断するの？
百日咳の診断には、以下のような検査が使われます。
- 遺伝子検査（PCR、LAMP法）
- 抗体検査
- 細菌培養
- 迅速診断キット（イムノクロマト法）
治療はどうするの？
治療の中心はマクロライド系抗菌薬の投与（エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど）です。
カタル期の早期に使うことで症状の進行を抑えられます。痙咳期でも感染拡大防止のために使用します。
重症の場合や乳児では入院管理が必要になることもあり、酸素投与や呼吸管理が行われます。
予防法はあるの？
主な予防法はワクチン接種です。
五種混合（DPT-IPV-Hib）ワクチンは生後2か月から定期接種として行われます。また、基本的な感染対策（手洗い・マスク・咳エチケット）も大切です。
学校や会社は休むべき？
百日咳は感染力の強い疾患であり、特に咳の発作が出る痙咳期には周囲への感染リスクが非常に高くなります。
学校保健安全法では、百日咳にかかった場合、「特有の咳が消失するまで、または5日間の適切な抗菌薬治療が終了するまで」出席停止と定められています。
これは会社勤めの方にも共通して考えられる指針です。
適切な治療を受けた上で、他者への感染の恐れがなくなってから復帰することが望まれます。
まとめ
百日咳は軽視できない感染症であり、近年報告数が増えています。
特に乳児や未接種の子どもたちにとってリスクが高いため、早期の予防接種と基本的な感染対策が重要です。家族内での感染連鎖を防ぐためにも、症状が出たら早めに医療機関を受診しましょう。
よくある質問（Q&A）
-
Q: 百日咳の予防接種は何回必要？
- A: 生後2、3、4か月と1歳6か月の計4回、五種混合ワクチンを接種します。
-
Q: 大人も百日咳にかかるの？
- A: はい、免疫が低下していると感染することがあります。再接種を検討することもあります。
-
Q: 百日咳にかかったら、いつまで隔離が必要？
- A: 抗菌薬治療を開始してから5日間は感染力があるため、最低でもその期間は隔離が推奨されます。
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