薬局で棚卸しを行う理由とは？目的やメリットを薬剤師が徹底解説！
薬局に勤める薬剤師やスタッフの皆さんは、定期的に「棚卸し」を行っていると思います。でも、棚卸しは意外に手間がかかり、「なんのためにやっているんだろう…？」と思うことも多いのではないでしょうか。
実は、棚卸しには薬局経営の安定や患者さんへの安全性を確保するために欠かせない重要な目的がいくつもあります。
この記事では薬局薬剤師の視点から、「棚卸しを行う理由」と、そのメリットについて詳しく解説していきます！
棚卸しを行う目的って何？
①帳簿と実際の在庫を一致させるため
棚卸しの最も基本的な目的は、帳簿上の在庫数量と実際の在庫数量が一致しているかを確認することです。
薬局では毎日、多くの薬が入出庫されるため、細かいミスが蓄積して数字にズレが生じることもあります。
これを放置すると「あるはずの薬がない」「発注したのに在庫が余っている」などのトラブルにつながります。
棚卸しはこうしたトラブルを未然に防ぐ役割を果たしています。
②決算時に正しい財務状況を把握するため
薬局経営においては、在庫は重要な資産です。
決算時に在庫金額を正確に把握することで、経営状況を正しく評価できます。
在庫金額が適切に把握できないと、利益が正確に把握できず、税務申告にも影響が出る可能性があります。
つまり、棚卸しは薬局の健全な財務管理に欠かせないのです。
③不正やミスを防ぐため
棚卸しを定期的に行うことで、不正な持ち出しや盗難、紛失を早期に発見できます。
薬局で扱う薬品は価値が高く、不正の対象になりやすいため、厳格な管理が求められます。
また、棚卸しで在庫管理を厳密に行うことでスタッフの意識が高まり、ミスや不正を防止する効果も期待できます。
④医薬品の品質管理のため
薬局での棚卸しは、医薬品の品質管理の役割も担っています。特に医薬品には有効期限があります。
棚卸しの際に期限切れ間近の薬を発見し、早めに使用したり返品や処分したりすることができます。
患者さんに安全にお薬を提供するためにも、使用期限の確認は非常に重要です。
⑤適正在庫の維持と発注精度の向上のため
棚卸しにより正確な在庫状況を把握できるため、過剰発注や発注漏れを防ぎ、適正な在庫数を維持することができます。
適正在庫を保つことで薬局のキャッシュフローが改善し、売上ロスの軽減にもつながります。
棚卸しをしないとどうなる？
棚卸しを適切に行わなければ、次のような問題が生じる可能性があります。
- 在庫不足や過剰在庫による経営悪化
- 使用期限切れ医薬品の販売リスク
- 経営状況の把握が困難になる
- ミスや不正が発覚しにくくなる
こうした問題は最終的に患者さんの信頼を失うことにもつながります。
棚卸しは薬局経営において欠かせない業務の一つなのです。
まとめ
薬局における棚卸しは、単に在庫数を数えるだけではなく、経営や医薬品の品質、安全管理と密接に関連しています。
手間のかかる作業に見えますが、定期的かつ正確な棚卸しは薬局の経営安定に大きく貢献します。
薬局薬剤師として棚卸しの重要性を理解して、前向きに取り組んでいこうね！
よくある質問（Q&A）
Q1. 薬局で棚卸しはどれくらいの頻度で行うべき？
一般的には年1～2回、決算前に行うことが推奨されています。ただし、在庫管理を徹底するためには四半期ごとや月1回の簡易的な棚卸しも有効です。また、特に使用期限管理が必要な薬品については定期的なチェックが必要です。
Q2. 棚卸しで帳簿上の在庫と実際の在庫が合わない場合はどうする？
在庫が合わない場合、まず考えられる原因を調査しましょう。例えば、以下のような要因が考えられます。
- 入庫・出庫時の記録ミス
- 期限切れや破損による廃棄の未記録
- 盗難や不正な持ち出し
棚卸し後は、原因を特定し、発注・管理システムの見直しや、スタッフ教育の強化などの改善策を講じることが重要です。
Q3. 棚卸しを効率的に行う方法は？
棚卸しをスムーズに行うためには、次のポイントを意識すると良いでしょう。
- 事前に棚卸しの計画を立て、担当者を決めておく
- ハンディスキャナーや棚卸し専用のアプリを活用する
- 定期的な簡易棚卸しを実施し、日常的に在庫精度を高める
- 使用期限の近い薬を優先的に管理し、ロスを減らす
Q4. 棚卸しで見つかった期限切れの薬はどうする？
期限切れの医薬品は絶対に使用できません。以下の方法で適切に処理しましょう。
- メーカーや卸業者の返品制度を利用する
- 法令に則り、適切な方法で廃棄する（医薬品廃棄物の取り扱いルールを確認）
Q5. 棚卸しの結果、過剰在庫が発覚した場合の対策は？
過剰在庫は薬局経営において大きな負担になります。対策としては以下のようなものがあります。
- 過去の販売実績を分析し、適正な発注量を決める
- 使用期限の近いものを優先的に使用する
- 在庫管理ソフトを活用し、リアルタイムで適正在庫を維持する
参考文献
- 医薬品の適正流通（GDP）ガイドライン – 厚生労働省
- 調剤薬局における棚卸の重要性 – note
- 日本における医薬品在庫管理について – 経済産業省
- 薬局(ドラッグストア)編 業界別！在庫管理の方法 – ITトレンド
- 薬局の原価・粗利の計算方法・棚卸の目的 – ファーマシスタ
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