次亜塩素酸の消毒液の作り方と正しい使い方
近年、ウイルス対策や感染予防の重要性が高まり、次亜塩素酸を用いた消毒が注目されています。
しかし、正しい濃度や使い方を知らないと、効果が弱くなったり人体に害を及ぼすことがあります。
本記事では、次亜塩素酸を用いた消毒液の作り方や使用方法を詳しく解説します。

ノロウイルス対策でもよく耳にする次亜塩素酸。希釈方法を理解しましょう。
次亜塩素酸とは?
次亜塩素酸は強力な除菌・消毒効果を持つ成分であり、主に以下の2種類があります。
- 次亜塩素酸ナトリウム(NaClO):家庭用漂白剤の主成分で、アルカリ性。強力な殺菌効果があるが、皮膚や金属に対する刺激が強い。
- 次亜塩素酸水(HClO):食品添加物としても認められており、酸性~中性で人体に優しい。手指消毒にも使えるが、保存が難しい。
1. 次亜塩素酸とは?
次亜塩素酸(HClO)は、強力な酸化作用を持つ成分で、ウイルスや細菌を効果的に不活化することができます。
しかし、通常の状態では非常に不安定なため、安定した形で利用するために「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸水」として使用されます。
- 次亜塩素酸ナトリウム(NaClO):家庭用漂白剤の主成分で、アルカリ性。強力な殺菌効果があるが、皮膚や金属に対する刺激が強い。
- 次亜塩素酸水(HClO):食品添加物としても認められており、酸性~中性で人体に優しい。手指消毒にも使えるが、保存が難しい。
2. 次亜塩素酸ナトリウムとは?(家庭用漂白剤の主成分)
次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、家庭用漂白剤の主成分であり、強アルカリ性を示します。一般的に、市販の家庭用漂白剤(塩素系漂白剤)は5~6%の濃度で販売されています。
特徴
- ✅ 強力な殺菌・漂白作用がある
- ✅ 低コストで入手しやすい
- ✅ 安定して保存できる
- ⚠️ 刺激が強く、金属や衣類にダメージを与える
- ⚠️ 皮膚や粘膜を傷つけるため、手指消毒には不適
3. 次亜塩素酸水とは?
次亜塩素酸水(HClO)は、次亜塩素酸を水溶液の形で安定させたもので、食品添加物としても認可されています。
pH調整により「弱酸性」や「中性」に調整されているため、人体や環境に優しいのが特徴です。
特徴
- ✅ 手指消毒にも使えるほど低刺激
- ✅ 食品や調理器具の消毒にも使用可能
- ✅ ウイルス・細菌に対する除菌効果が高い
- ⚠️ 紫外線や時間経過により分解しやすい
- ⚠️ 市販品は保存方法に注意が必要
4. 次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違いを比較
比較項目 | 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤) | 次亜塩素酸水 |
---|---|---|
化学式 | NaClO | HClO |
pH | 強アルカリ性(pH10~12) | 弱酸性~中性(pH5~7) |
殺菌力 | 強力(濃度による) | 高い(適正濃度で使用) |
手指消毒 | 不可(皮膚に刺激) | 可能(50ppm以下) |
金属腐食性 | あり(特に高濃度) | 低い |
漂白作用 | あり(衣類やプラスチックに影響) | なし |
食品の消毒 | 不適 | 適(食品添加物として認可) |
保存性 | 高い(安定している) | 低い(分解しやすい) |

5. 次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒液の作り方
市販の家庭用漂白剤(約5〜6%の次亜塩素酸ナトリウム)を希釈することで、簡単に消毒液を作ることができます。
用途別の希釈方法
用途 | 必要な濃度 | 水1Lに対する漂白剤の量 |
---|---|---|
ドアノブ・手すり・家具 | 0.05%(500ppm) | 約10mL(小さじ2杯) |
嘔吐物・排泄物の処理 | 0.1%(1000ppm) | 約20mL(大さじ1強) |
食器・まな板の消毒 | 0.02%(200ppm) | 約4mL(小さじ1弱) |
作り方
- 清潔な容器(ペットボトルやスプレーボトル)を用意する。
- 水1Lを測り、適量の漂白剤を加える。(上の表を参照)
- よく混ぜる。
- 作った消毒液はその日のうちに使い切る。(劣化しやすいため)
注意点
- 金属製品には使用しない。(腐食の原因になる)
- 酸性の洗剤やアルコールと混ぜない。(有毒ガス発生のリスク)
- 手指の消毒には使用しない。(皮膚を傷めるため)
6. 次亜塩素酸水を使った消毒液の作り方
用途別の濃度
用途 | 必要な濃度 |
---|---|
手指消毒 | 35~80ppm |
ドアノブ・家具 | 100~200ppm |
嘔吐物・排泄物 | 200ppm以上 |
7. 次亜塩素酸消毒液の正しい使い方
1. 拭き掃除の方法
- 消毒液を布やペーパータオルに含ませ、拭き掃除する。
- 30秒~1分ほど放置してから乾いた布で拭き取ると効果的。
2. 嘔吐物・排泄物の処理
- 必ず手袋・マスクを着用し、消毒液(0.1%)をかけて数分放置。
- ペーパータオルで拭き取り、最後にもう一度消毒液で拭く。
3. 食器・調理器具の消毒
- 200ppmの消毒液に5~10分浸ける。
- その後、水でしっかりすすぐ。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 消毒液はどれくらいの期間保存できる?
A. 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤の希釈液)は当日中に使い切るのが基本です。次亜塩素酸水も時間とともに分解されるため、1週間以内に使い切るのが望ましいです。
Q2. 消毒液は手指に使える?
A. 次亜塩素酸ナトリウムは手荒れの原因になるため手指消毒には不向きです。手指には次亜塩素酸水(50ppm程度)またはアルコールを使用しましょう。
まとめ
次亜塩素酸を使った消毒液は効果的な感染対策の一つですが、正しい濃度と使い方を守ることが重要です。特に次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を使用する際は、酸性のものと混ぜない、換気を十分に行うなど、安全面に注意しましょう。

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