「てんかん治療、なかなか効果が出なくて困っていませんか？」
ペランパネル（商品名：フィコンパ）は、従来の抗てんかん薬とは異なる作用機序を持つ新しい選択肢です。
部分発作や強直間代発作に対して有効性が認められており、特に多剤併用でもコントロール困難な症例において注目されています。
本記事では、ペランパネルの特徴、服薬指導のポイント、そして実際の症例をもとに、現場で役立つ情報を詳しく解説します。
薬剤師として患者さんに安心して服薬していただくための工夫も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください！
ペランパネルとは？
ペランパネル（商品名：フィコンパ）は、エーザイが開発した新規抗てんかん薬で、AMPA型グルタミン酸受容体の非競合的拮抗薬として作用します。
他の抗てんかん薬とは異なる作用機序を持ち、特に難治性の部分発作や強直間代発作に対して有効性が報告されています。
服薬指導のポイントは？
用法・用量の遵守
通常、成人および12歳以上の小児には1日1回2mgの就寝前経口投与から開始し、1週間以上の間隔で2mgずつ漸増します。維持用量は4～8mg、最大12mgまで投与可能です。副作用のリスクを避けるため、漸増と定期的な観察が重要です。
副作用のモニタリング
めまい、眠気、頭痛、吐き気、注意力の低下などが報告されています。重篤な皮膚障害（Stevens-Johnson症候群など）にも注意が必要です。特に投与初期8週間以内は発疹や発熱に敏感になりましょう。
薬物相互作用の確認
主にCYP3A4で代謝されるため、同酵素を誘導する薬剤（フェニトイン、カルバマゼピンなど）との併用で血中濃度が低下します。併用薬を把握し、医師と連携して調整を行います。
どんな症例で使われる？実際の症例紹介
症例1：多剤抵抗性の部分発作に対してペランパネルが有効だった例
患者：42歳女性（既婚・主婦）
主訴：「突然意識を失って倒れることが月に何回かある」
現病歴：25歳時に初めて部分発作を経験。以降、年に数回「反応が鈍くなり、ぼーっとしてしまう」発作が出現。
30代から意識消失を伴う発作が増加。MRIでは異常なし、脳波では左側頭葉に棘波を確認。カルバマゼピン、ラモトリギン、レベチラセタムを使用するも効果不十分で難治性部分てんかんと診断された。
治療経過：ペランパネル2mg/日で導入し、2週ごとに増量。8mg/日で維持。3か月後には発作頻度が月1回以下にまで減少し、家族も「意識が戻るのが早くなった」と証言。
副作用：日中の眠気あり。他剤（ラモトリギン）を漸減し、服薬時間を就寝直前に変更することで改善。
薬剤師の介入：併用薬のチェック、眠気の原因を分析し投与時間調整を提案。運転制限への助言も実施。
症例2：若年男性の強直間代発作に対するペランパネルの導入例
患者：18歳男性（高校生）
主訴：「夜中や朝方に突然けいれんしてしまう。最近頻度が増えていて怖い」
現病歴：12歳からバルプロ酸ナトリウムを服用。16歳以降に発作が再増悪し、月に3回程度の強直間代発作を認めた。バスケット部の活動にも支障。
治療経過：ペランパネル2mg/日から導入し、6mg/日で維持。開始1か月で発作が月1回に減少、2か月後には完全に消失。
副作用：傾眠傾向が出現し、服薬時間を22時→21時へ変更。スマホリマインダー設定を家族と実施。
薬剤師の介入：傾眠対策として服薬時間調整、併用薬（バルプロ酸）との相互作用管理、服薬支援ツールの提案。
まとめ
ペランパネルは、AMPA受容体を標的とする新しい作用機序の抗てんかん薬です。
難治性のてんかんにおいても有効性が期待されており、適切な服薬指導と副作用管理が不可欠です。患者のQOL向上を目指し、薬剤師としてできる支援を丁寧に行いましょう。
参考文献
よくある質問/Q&A
- Q. ペランパネルは妊婦に使えますか？
A. 妊娠中の安全性は確立されていないため、必要性を慎重に判断し、医師の指示に従って使用します。 - Q. 他の抗てんかん薬との併用は可能ですか？
A. はい。ただし相互作用に注意し、CYP3A4に関与する薬剤との併用は濃度低下の可能性があるため監視が必要です。 - Q. 飲み忘れた場合はどうしたらいい？
A. 気づいたときにすぐ服用し、次回は通常どおり服用します。2回分を一度に飲まないよう注意しましょう。
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